このコーナーではメンバーが担当して、さまざまな企画を 展開していきます。むなさんからのリクエストもドシドシ受け付けます。
まずは、Mix Nutsの「期間限定JANGO BBS」でもリクエストの多かった、ハギー著の「ごうどん物語・完全版」を 公開します!

---今、赤裸々に語られる、衝撃の事実!!---
『ごうどん物語』

(第一章)
いまでもあの日のことは、昨日のように思い出します。
ぼくが、宇宙船で冥王星の付近を通りかかったとき、 地球に財布を忘れたことに気づきました。
そのとき一緒にいたのが、そのころの相棒だった、 ハコダテ星の「シューイチロー」でした。

シューイチローが「じゃぁ、ゴードン星よってく?」
といったので、お金を借りに風俗店の立ち並ぶゴードン星 に降り立ちました。
ゴードン星は、みんながゴードンと同じ顔で、 みんながそれぞれにボケまくっていました。
そうです。ゴードン星にはツッコミは存在しませんでした。
なかにはボケきれずに、犯罪に走る人もいました。

そんな中に、歴史的な大事件が起こったのです。
細長く曲がった金属のパイプで夜空の星を見ていた男が 「この望遠鏡なんにも見えねぇっぺ」とボヤいていました。
ハギーはその男に、
「それ、トロンボーンだよ!」 とツッコミを入れてしまったのです。

(第二章)
その瞬間、ゴードン星の自転が止まったかのような静けさが、 周りをツツッコミました。(包み込みました)
次の瞬間、「おおーっ!」という大歓声とともに、星をあげてのカーニバルが 始まったのです。新しい歴史の始まりでした。

トロンボーンの男は星の王となり、 歴史的なツッコミをいれたハギーはとても歓迎されました。
1年ほど宮殿でぐうたらしていましたが、 トロンボーンの男はその地位を利用して、欲望の限りをつくしていました。
ハギーはこれではまずいと思い、 まじめなシューイチローを変装させてトロンボーンの男とすり替えたのです。
星は治まりました。

こうして、シューイチローは星に残ることになり、 そのかわりハギーは帰りの宇宙船の中でトロンボーンの男の ボケを聞き続けるハメになってしまったのです。
ハギーは何をしに冥王星付近を飛んでいたかも忘れてしまい、 ふたりは地球に向かいました。

(第三章)
トロンボーンの男は、カワモ・リタヨシノーブという名前でした。
ハギーが振り返ると、トロンボーンを耳にあてて「もしもーし」とボケている最中でした。
もうちょっとで地球に到着するところで、黄色い宇宙船が追い抜いて行きました。 船体にはピースマークがかかれ、なつかしのタケヤリデッパ仕様の宇宙船でした。
よくみるとなぜか眉毛も書かれていました。

地球に着くとさっきの宇宙船が‥‥。そして中から男が降りてきました。
ハギーの知り合いのゴォートゥ氏でしたが、なぜかオクラを食べながら歩いてきました。
カワモを紹介すると、黄色い名刺をくれました。住所は「四条回ル」となっていました。
裏には時間と集合場所がペンで書かれていて、どうやらそこへ来いということらしいのです。
カワモは相変わらずボケ続けています。どうやらそうしていないと死んでしまうようでした。

二人で集合場所へ行ってみると、コンビニの横の階段を地下に降りていく、 とても怪しいところでした。
ゴォートゥ氏はカワモ・リタヨシノブという名前のthとzの発音ができず、 名前を呼ぼうとするたびに、前歯で舌を噛んで血まみれになっていました。
だんだんイライラしてきたゴォートゥ氏は、血圧が上がるどころか、 出血多量で、血圧は下がるとこまで下がっていました。

大変だ!ゴォートゥ氏!!
このあとどーなってしまうのかっ!!

(第四章)
ゴォートゥ氏の顔が蒼白になってきました。
ハギーは名前を呼ぶことがこんなに危険だと思った事はありませんでした。
カワモはゴォートゥ氏のマネをして、舌をベロベロ出しておもしろがっています。
その瞬間、ゴォートゥ氏は何かをひらめいたように、 「自分、誰かに似てんなぁ。」
と言いました。
そして「サンダーバードに出てくる、ゴードンに似てるわ!」と続けたのです。
カワモはびっくりしました。
そして、急に泣きだしたのです。
カワモは、サンダーバードを知っていました。
しかし、なぜ?
カワモが地球に来たのは初めてのはず‥‥。

このあと知られざる事実が明らかに!
いったいどーなってしまうのだぁー!!
(第五章)
突然泣き出してしまったカワモ。
いったいどうしてしまったのでしょうか?
そして、サンダーバードの謎は?

カワモはゆっくりと口を開きました。
「おらのとうちゃん、小さいころに出ていっただ。」
「とうちゃんのこと、あんまり覚えでねぇ。」
「けど、風のたよりに地球で元気にくらすてるって‥‥。」 カワモはいっそう激しく泣き出しました。

少し落ち着いてから、カワモが着けていたベルトの巨大なバックルから、 一枚の写真を取り出しました。 ハギーは驚きました。
それは、サンダーバードのゴードンのサイン入りブロマイドでした。
そうなのです。
サンダーバードにゴードンとして出演していたのは、 紛れもなく、カワモのお父さんだったのです。
長い年月とともに色あせたそのブロマイドに カワモの父親への愛情が感じられました。
床は、カワモの涙とゴォートゥ氏の血で大変なコトになっていました。

ようやく出血のおさまったゴォートゥ氏は、カワモに 「さよか。」
とひとこと言ったあと、 おもむろに自分のサイン入りブロマイドを カワモに差し出しました。
ハギーは、ゴォートゥ氏がおもしろい人だと思いました。
ゴォートゥ氏は、なにか思い出したように言いました。
「シューちゃんは?」 「!!!!」
ハギーは大変なコトを思い出しました。

ハギー絶体絶命のピンチ!!
この後、予想もしない事態にーっ!!

(第六章)
ハギーは、シューイチローがゴードン星の残ったことの一部始終を ゴォートゥ氏に話しました。
ゴォートゥ氏の顔がまたまた蒼白になってきました。
さっきとは違って殺気が漂っていました。
「な、な、なんやてぇ〜!!」
実は、ゴォートゥ家に伝わる秘宝「儀多亜」のを開けるための鍵を、 シューイチローが持っていたのです。
血迷ったゴォートゥ氏は明らかに挙動不審でした。
さっきから前歯を缶切りがわりにして、缶のふたを開けていました。
とても困ってしまっている様子です。
もう五つ目です。 「儀多亜」はゴォートゥ家で年一回行われる儀式、 「邪安娯」で使われるのですが、それはもう目前にせまっていました。
このままでは、使われない缶詰がどんどん無駄になってしまいます。
もう六十二個目です。
さあ、いったい缶詰は何個‥‥、いや、
ゴォートゥ氏は、邪安娯はどーなってしまうのかーっ!

(第七章)
「邪安娯」とはいったいどんな儀式なのでしょう。 それには八人の聖者が必要で、あのシューイチローも聖者のひとりでした。
「邪安娯」とは、その字が表すように、邪悪なものをも安らかにし、 みんなで共に楽しむという意味を持っています。
毎年、この儀式のおかげで世界中が平和に過ごせるのです。

そして「儀多亜」はその儀式以外には封印されています。
そうでないと勝手に暴れ出して、邪悪な力を持ってしまうからです。 封印するためには、聖者の中で最も優秀な者が、 自分の一番大事なものを鍵にして封印するのです。
何をその鍵にしていたかは、シューイチロー以外にはゴォートゥ氏だけが知っていました。

ゴォートゥ氏は途方に暮れていました。
もう、五百と二十三缶目です。
そして、五百と二十四缶目に手をかけたとき、 あるものが目に入りました。

それはいったい!?
この物語はどーなってしまうのか?
衝撃の結末まであとすこし!

(第八章)
その時ゴォートゥ氏の目に入ったものは、何だったのでしょう。
それは、カワモがボケるために持ち歩いている、 さほど大事にしていないトロンボーンでした。

ゴォートゥ氏は、カワモに聞きました。
ゴ「これ、トロンボーン?」
カ「うんにゃ。げすいどー。」
ゴ「いやいや、トロンボーンやろ?」
カ「ぼーえんきょー。」
ゴ「そないなことおまへんがな。トロンボーンやろ?」
カ「てりやきばーがー」(カワモはてりやきばーがーが大好物でした)

これでは話になりません。 ゴォートゥ氏はなにかひらめいたようで、宇宙船に一目散に走っていきました。
(あまり急いでいたので、歯で風を切る音が聞こえました。)
戻ってきたゴォートゥ氏の手には一本のビデオが握られていました。
タイトルは桜木ルイとだけ書かれていました。

そのビデオをカワモに見せると、どうでしょう。
自分のトロンボーンをゴォートゥ氏に押しつけながら、 「これトロンボーン。これトロンボーン。これトロンボーン。これトロンボーン。これトロンボーン。」 とはしゃいでいます。

いったいどうなってしまうのか。
あまり緊迫感がなくなりながらも、
衝撃の次回へ!

(第九章)
ゴォートゥ氏はやっとの思いで、カワモからトロンボーンを借りることに成功しました。
そのとき、ハギーは身震いするほどの衝撃を感じました。
肝心なことをうっかりしていたのです。

シューイチローは、ハギーと数年間テンリダーイ星にいたことがありました
。 そのころ、テンリダーイ星いちばんのトロンボーン吹きといえば、 誰もがシューイチローの名前を挙げるほどでした。

ハギーは叫びました。
「そうか、シューイチローはトロンボーンを鍵にしていたんだ!」

さぞかしいろんなボケに使われたのでしょう。
カワモのトロンボーンはあちこち曲がっていて、 酷使された様子が手に取るようでした。

とはいえ、なんとかなりそうです。
今は、この(ふつうより)曲がったトロンボーンだけが、みんなの頼みの綱でした。

ゴォートゥ氏はゆっくりとトロンボーンを手に取り、 みんなの視線はそこへ集中しました。

(第十章)
ゴォートゥ氏はトロンボーンを持って、儀多亜の前に立っています。
そして、鍵穴をじっと見つめていました。
トロンボーンが入りそうなカタチをしていました。

みんなが見守る中、
ゆっくりと、慎重にと鍵穴に差し込んだものは‥‥、
ゴォートゥ氏の歯でした。

気まずい沈黙が流れました。
いつもなら軽やかに突っ込みを入れるセブンのジョーが、 今日はまだ来ていませんでした。

気を取り直してふたたび鍵穴へ、
こんどはトロンボーンを差し込みました。
あたり一帯はまばゆい光につつまれました。

次回、感動の儀式がはじまる!

(第十一章)
まばゆい光につつまれて、ゴートゥ氏は儀多亜を抱えていました。
光がおさまるまで、一時間は経ったでしょうか。
実際には5分だったかもしれませんが、 みんなには、いつまでも続く時間のように感じました。

そうする間に、残りの聖者たちも儀式の時間にあわせて駆けつけてきました。
そして、シューイチローのいないぶんは、もちろんカワモが埋めることになりました。
ゴートゥ氏はカワモに、
「今日からおまえは、お父さんの名前をとって、ゴードンだ。」
カワモは目に涙をためて、なんども、なんども頷きました。

カワモには、いえ、ゴードンにはお父さんの声が聞こえた気がしました。
「ガンバレよ、二代目ゴードン。」
でも実際にはハギーが耳もとで、お父さんのモノまねをしていました。

そしてハギーは、ゴォートゥ氏がゴードンと名付けたのは、 自分がもう血まみれになりたくないからだと思いました。

さあ、儀式のはじまりです。

(第十二章)
さあ、儀式のはじまりです。
ハッピーな音色が流れはじめました。
みんなが楽しい気持ちになっていきます。
いつまでも続けばいいな、と思う時間です。

儀式は一度はじまると、三日三晩続きます。
邪安娯の音色は、耳では聞こえません。
心の中で鳴り響くのです。
ですからふつうでは聞こえない距離までも届くのです。
心の音は、ほかの星々にまで届きました。

一日目の夕方を過ぎた頃、ほかの星からの人々も集まってきました。
たくさんの宇宙船がいっせいに降り立つすがたは壮観で、 何百もの船体が夕日に映って、キラキラしています。

ハギーはあらためて、この儀式のすごさに圧倒されました。

この儀式は、このあと数年間お休みすることがありましたが、 また、再開されることになりました。
そして、その後はいつまでもハッピーな音色が途絶えることはありませんでした。
聖者たちは知っています。
その儀式のために、たくさんの人が応援してくれたこと。
そして、その応援がなければ再開ができなかったことを。

〜完〜

■□■□■□あとがき■□■□■□

最後まで読んでくれてありがとうございました。
なんの気なしに書きはじめ、 気が付けば、なかなかの好感触。(笑) 連載にも力が入りました。

さて、物語の冒頭に登場したキーマン、 「シューイチロー」とは? 知ってる方もいたようですが、 なんでも知りたい コアなJANGOファンのために 少し解説しましょう。

シューイチローはもちろん実在の人物です。 僕とは大学時代に一緒にジャズをやっていた仲間で、 なんと、ゴードンの高校からの先輩でもあります。 そして、ゴードンがJANGOに加入する以前、 JANGOのメンバーでもありました。 そしてなんと、「RIGHT TIME,RIGHT PLACE」 のレコーディングに参加しているのです。 (早速、ジャケ?のクレジットをチェック!)

つまり、CDでCLOSERの冒頭のソロを吹いているのは、 このシューイチローなのです。 さらに「GIVE YOU」 の録音もこの時期なんです。

みなさん、知らないところで実はシューイチローのプレイを 聴いていたんですねぇ。 結局、ハコダテ星に帰るためにJANGOから離れることになったのですが、 そんな男がいたことを、みなさんぜひ憶えておいてください。
ちなみに、とってもイイ男ですので‥‥。

萩原 隆